JILSでは、ロジスティクス推進に向けて優れた実績をあげた企業を表彰する「ロジスティクス大賞」を設けており、本年度で第34回目を数えます。
ロジスティクス大賞 ノミネート委員会およびロジスティクス大賞 選考委員会において厳正なる審査の結果、本年度は下記の通りロジスティクス大賞
および特別賞が決定いたしました。
※なお、各受賞事例は10月27日(金)に開催されるロジスティクス全国大会2017の場において、受賞記念講演としてご発表いただきます。
ロジスティクス全国大会2017の詳細、参加申込は以下URLをご参照ください。
http://logistics.or.jp/propulsion/enhancement/2017zenkoku.html
【2017年度 ロジスティクス大賞】
キユーピー株式会社
株式会社キユーソー流通システム
株式会社竹中工務店
キユーピー神戸工場における新たなものづくりの実現
「清流化」によるサプライチェーン効率化への挑戦
●受賞事由
国内市場は人口減少の影響により大幅な売上の増加は難しく、利益を確保していくためには、徹底した効率化による原価低減に取り組む必要があった。
そこで本取り組みでは、西日本における基幹工場の建設にあたって、調達・生産・販売・物流の各機能が連携する仕組みを構築し、労働生産性の向上、生産リードタイムの短縮、そして製品在庫の削減を実現した。例えば、製品を充填する時点で行き先配送拠点が事前に決定されており、これによりパレタイズの際にトラックの積載率を考慮して任意の段数の積み付けが行えるようになっている。
また、無人搬送車や秤量の自動化、充填機の高能力化により省人化はもちろんのこと、生産リードタイムを1日まで短縮している。これにより、当日生産したものを当日に約80%、翌日に20%を配送拠点に移動できるようになり、工場における製品在庫の大幅な圧縮を実現している。製造原価の低減はメーカーにおける優先課題であり、他社においても大いに参考になる事例として高く評価された。
【2017年度ロジスティクス大賞 技術活用賞】
東芝ロジスティクス株式会社
ウェアラブルデバイスを活用した飛躍的な倉庫内作業改善
●受賞事由
工場等で広く使用されているIE(Industrial Engineering)手法をベースとした定点観測や時間分析等は、限られた時間と限られた被調査者から対象職場の課題を端的に表すには最適な手法といえる。しかし、改善効果の検証を行うには再度の測定が必要であり、また時間が掛かるために日々の業務の中で継続的に改善活動を行っていくことが困難であった。
そこでリストバンド型ウェアラブルデバイスを活用して日々のピッキングにおける作業者の作業時間を測定し、WMS(倉庫管理システム)のデータから求められた標準時間とのギャップから問題となる動作の気付き、そして、その原因分析を行えるシステムを開発した。
これにより日々の業務の中で継続的な改善を行っていけるだけでなく、作業者個々人の動作特性も詳細に把握できることから個人の技量に合わせた研修が可能となり、より大きな生産性の向上が期待できるシステムとなった。以上のように、センシング技術を物流現場の生産性向上にうまく活用した取り組みであることが評価された。
【2017年度 ロジスティクス大賞 奨励賞】
花王ロジスティクス株式会社
予測技術を活用した庫内作業最適化による生産性向上
●受賞事由
消費者ニーズの多様化に伴うアイテム数の増加と得意先からのバラ出荷要請の増加により、物流拠点における庫内作業の生産性が低下し、保管及び出荷用のスペースが不足する問題が生じていた。
そこで、予測技術を用いて出荷頻度が非常に低い商品を出荷作業エリア外に保管し、さらには空間を有効活用するためパレットで平置き保管されている商品の一部を出荷量の予測に基づいてケースフローラックに保管する改善を実施した。
これにより、出荷作業エリア面積を17%削減し、さらには予測技術に基づく日々の出荷頻度を考慮した商品配置の見直しからピッキングの生産性を15%以上向上させている。そして作業改善に留まらず、これによって削減されたコストを原資として職場環境や作業者の処遇改善にも取り組んでいる点が、継続的な改善を実現していく優れた取り組みとして評価された。