【年頭所感】ロジスティクスイノベーションによる課題解決に向けて

【年 頭 所 感】 

 

ロジスティクスイノベーションによる課題解決に向けて

 

公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会

会 長  遠 藤  信 博

 

 2018年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 米国の新政権とともに始まった昨年は、欧州においては難民流入に端を発したポピュリズムが台頭し、米国では経済の観点から自由貿易に向けた動きが後退するなど、保護主義的な動きが目立つ一年でありました。この様な世界情勢の中で、日本は安定的な政権の下で緩やかな景気拡大が継続し、グローバル社会に対してもその安定を基礎とした存在感を示すことができた年となりました。また2017年は、自動運転車や囲碁等に象徴されるように、正に「AI元年」というべき年であり、今後、あらゆる経済活動においてAI適用の期待が実感される段階となりました。開幕まで1000日を切った東京2020大会に向けて、今後、さらなる技術や経済の活性化が期待されます。ロジスティクスは経済の基盤であり、AIやIoTの活用により、柔軟性と効率性を兼ね備えたさらなる高度化が期待されています。そうした高度なシステムをグローバルにいち早く発信してゆくことが、日本のロジスティクスに求められていることと思います。

 昨年7月、政府における物流施策や物流行政の指針として、関係省庁が連携して総合的・一体的な物流施策の推進を図る「総合物流施策大綱」が閣議決定され、これからの物流に対する新しいニーズに応え、我が国の経済成長と国民生活を持続的に支える「強い物流」を実現していくための取り組みが示されました。公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会は、この「総合物流施策大綱」に示された方針を踏まえ、今年も「ロジスティクスコンセプト2020」のもと、活動を展開して参る所存です。

 2016年度に活動を開始した「ロジスティクスKPI推進部会」および「ロジスティクスIoT推進部会」は、その活動をさらに深化させ、企業同士が連携して目指すべき新たな社会共通価値を広く産業界へお示しすべく、より一層取り組みを加速いたします。また、進展するグローバルSCMに関する調査研究を通じた課題と先進事例の分析に取り組み、今後の事業展開に向けた打ち手を探るとともに、物流現場改善活動の推進として、「物流現場改善推進のための手引書」の翻訳版を制作し、海外の物流現場への普及を図って参ります。さらに、ロジスティクス人材育成の支援活動では、引き続き、階層別、分野別の各種講座、セミナー等の開発、実施を行うとともに、学生のためのロジスティクス・物流研究プロジェクトの推進や、物流業界におけるダイバーシティに関する実態調査の実施など、ロジスティクスの高度化を担う人材の活性化に向け、幅広く取り組んで参ります。加えて、物流システム機器や情報システム、サービス等ハードとソフトが集結した情報発信・技術交流の場である「国際物流総合展―LOGIS-TECH TOKYO―」は、本年9月に規模を拡充し開催いたします。

 本年も当協会は、わが国産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、経済産業省ならびに国土交通省等、関係各省庁の施策と歩調をあわせ、全力をあげて課題に取り組んで参ります。会員の皆様をはじめ、関係各位の一層のご支援とご協力を心からお願い申しあげ、新年のご挨拶といたします。

 

2018年 新春