【年頭所感】人間社会のプラットフォームとしてのロジスティクスの高度化に向けて

【年頭所感】

人間社会のプラットフォームとしてのロジスティクスの高度化に向けて

 

 

             公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会

                          会 長  遠藤 信博

 

 

2017年度の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 

昨年度は、東日本大震災以来の大きな地震が各地で発生しました。被害を受けられました熊本、大分を中心とする九州地方の皆様、更には、鳥取を中心とした地域の皆様に心よりお見舞いを申しあげます。地震、荒天による災害の多い我が国では、災害時においても確実に機能する社会プラットフォームとしてのロジスティクスシステムの確立が必要です。このため、必要な情報をリアルタイムに捉えて、正確で、スピーディな機能を充実させ、大きな災害にも耐えうるロジスティクスの開発が重要なテーマであり、協会を含めて皆様と共に努力を重ねてまいりたいと思います。

2016年は、国内、海外ともに、今後の社会の枠組みを大きく変えるような出来事が幾つもありました。日本では、経済に大きな影響をもたらす総人口が減少に転じ、今後の経済成長のあり方を真剣に検討する必要が現実化してきました。世界に目を転じると、ヨーロッパでは、中東からの、或いは欧州内での移民問題に端を発した保護主義的な動きが顕著に見られ、米国でも、移民問題や、資本主義が本質的に抱える格差問題が大統領選挙の大きな争点となり、激しい選挙戦の結果、次期大統領としてトランプ氏が選出されたことは、大きな話題となりました。いずれにしても、情報や人の移動、経済の動きなどは、単独の国や地域の単位では制御が叶わなくなって来ており、地球規模で、いかに調和を図って行くべきかが問われているのだと思います。私どもが住んでいる地球環境を考えるCOP2016パリ協定は、地球規模での環境の調和を推進する大きな一歩であり、同様な動きが経済の観点からもより強く要求されて来ると思います。

豊かな人間社会を実現する社会プラットフォームであるロジスティクスシステムもまた、グローバルでの調和が要求されています。グローバルな規模でリアルタイムな情報収集と共有を行い、これらを十分に活用することで、エネルギーの観点からも、運用コストの観点からも効率的なシステムの実現が必要となっています。これにより、ロジスティクスの価値を更に高めて行くことが重要であろうと思います。昨年大きな話題となった囲碁のAI"AlphaGO"に見られる様に、今もなお急激に拡大する計算機能力をベースにした見える化、関係性の分析、そして分析結果からのシステム最適化などの能力は、非常に高いレベルになってきており、既に実社会で適用が始まっております。また、実物領域とサイバー領域をつなぐIoTプラットフォ?ムも実現しつつあり、これらの技術を総合的に使い切り、AIをロジスティクスシステムに取り入れて「人、モノ、プロセスをつないで新しい価値」を創造するバリューチェーン-イノベーションの実現が求められています。

今年、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会は、設立25周年を迎えることとなりました。この節目の年に、改めて「ロジスティクスコンセプト2020」のもと、新年度の活動を展開してまいります。昨年設立した「ロジスティクスKPI推進部会」及び「ロジスティクスIoT推進部会」の活動を深化させ、産業界が抱える課題を共有し、解決に向けた方策を検討、実行致します。また、ロジスティクスに関する課題解決のための情報発信・技術交流の場である「ロジスティクスソリューションフェア」の規模を拡充し本年8月に開催すると共に、物流現場改善活動の活性化や、進展するグローバルロジスティクスへの対応、ロジスティクスの高度化を担う幅広い人材育成に向けた能力開発支援事業等にも取り組んでまいります。

本年も当協会は、ロジスティクスナショナルセンターとして、荷主と物流事業者との連携によりロジスティクスの高度化を推進する経済産業省、並びに物流生産性革命を掲げ、様々な切り口からプロジェクトに取り組む国土交通省等、関係各省庁の施策と歩調を合わせ、わが国、産業活動の発展と国民生活の向上に向け全力を挙げて課題に取り組んでまいります。

会員の皆様を始め、関係各位の益々のご繁栄をお祈りすると共に、皆様からの協会活動へのご支援ご協力を心からお願い申しあげ、新年のご挨拶と致します

2017年 新春