九州ロジスティクス活性化研究会の第2回会合として、7月10日(金)LDC研究所 酒井様よりご講演をいただきました。
以下、主査の高田先生よりコメントをいただきましたので、掲載をいたします
【九州ロジスティクス活性化研究会【7月10日(金)】高田主査コメント】
平成27年度第2回(7月度)の研究会は、「包装改善によるロジスティクスコストの大幅削減および環境対応」の題目で、エルディーシー研究所所長の酒井様にご講演を頂きました。
ロジスティクス部門が如何に企業組織において中枢かつ重要な役割を担うかについて、ご講演の冒頭で、企業組織全体をオーケストラに例え、かつては片隅で小さく楽器を演奏する役割から、現在では組織全体に目を配り統合的にパフォーマンスを上げる「指揮者」としての役割に変化していることを説明頂きました。また、ミリタリー・ロジスティクスと現代のビジネス・ロジスティクスの共通点に触れられ、その重要性・戦略性についても判りやすくお話頂きました。
酒井様は、ビジネス・ロジスティクスのキーワードとして、(1)顧客優先、(2)全体最適、(3)ライフサイクル・コストの3点を挙げられます。つまるところ、組織が部門ごとに最適化を図っていては、全体最適(顧客価値)には到達しません。そのために、全社が一丸となって顧客の方向を向き、顧客のベネフィットを最大化すべくロジスティクス部門には横串を刺す役割が求められます。
その全社的な取組みの際の指標のひとつとして、包装効率を表す「デンシティ」の概念を紹介いただきました。これは、酒井様がオリンパス時代に独自に開発された指標で、Air Waybillの数値を活用して実重量に対する体積重量を算出します。例えばデンシティが1.33だとすると、33%は空気を運んでいる計算となりますが、算出したデンシティの数値に基づき、(1)外装箱の縮小、(2)内装箱の縮小、(3)製品サイズの調整(縮小)、(4)理想的な製品形状の設計、といった様々な知恵を全社的に出しながらデンシティを下げる活動を進めることで、目に見えて部物流コストや包装資材コストの削減を実現でき、その恩恵を顧客とシェアすることが出来るのです。
これらのご講演内容に対して、出席者から「誰がどのようにしてイニシアチブを取ると社内の理解を得やすいのか?」、「ものづくりの製品ではなく、例えば野菜など農産物の物流にも応用できるのか?」といった質問が活発に寄せられました。
ご講演の最後は、「愛するということは、互いに見つめ合うこと(恋)ではなく、一緒に同じ方向を見ることである」という一節を引き合いに出され、社内の各部署が一緒に顧客の方向を見て物流改善に取り組むことの重要性を強調して締めくくられました。豊富な例えを交えながらデンシティのコンセプトを判りやすく紹介頂き、示唆に富んだ120分間でした。
(文責:高田 仁、九州大学大学院経済学研究院)