2015年12月アーカイブ

関西ロジスティクス研究会12月度(第8回)報告

 関西ロジスティクス研究会の第8回会合として、12月18日(金)に株式会社ロジスティクス革新パートナーズ代表取締

役菅田様より「EC通販物流の現状と今後の課題」をテーマにご講演をいただきました。以下、コーディネータの高橋様

よりコメントをいただきましたので、掲載をいたします。

関西ロジスティクス研究会【11月20日(金)】高橋主査コメント

 12月18日(金)に、株式会社ロジスティクス革新パートナーズ代表取締役 菅田様から、「EC通販物流の現状と今後の

課題」のご講演をいただきました。

 菅田社長様は、長くリコー株式会社・リコーロジスティクス株式会社などで、生産技術・経営管理部門等の要職を経験

され、また品質・環境分野から人材育成まで幅広い見識と実践を積まれ、現在も公的機関の委員や企業のアドバイザー

などでご活躍されています。

 現在、EC市場の規模は物販系分野だけでも、2014年は前年比13.5%増の6兆8千億円(サービス・デジタル関連

含むと12兆8千億円)にも上り、年々拡大基調にあると、冒頭にお話がありました。更に、店舗とネットを融合したオムニ

チャネルに取り組む最新の企業事例を、数多く紹介頂き、このオムニチャネルの物流動向にも注目する必要性を示唆

いただきました。とりわけ、このオムニチャネル物流面における成功は、「商品在庫の一元管理、物流ネットワークの

再編成、SCMプラットホーム」などで、自由自在の付加価値創造型SCMを構築する、新たなロジスティクスの取組みが

欠かせないことを力説されました。また、物流サービス寿命は5?6年(製品寿命は10年)と短いサイクルであるだけに、

コラボ(例えばコンビニとの対応)出来る物流サービスや、地域密着(例えば少子高齢化への対応)する物流サービスで

成長領域があれば、新たな物流(網づくり)のチャンスである、とのお話も共感できるところであります。

 今回、菅田社長様から「3PLの言葉に酔わないで!」、「CD(コストダウン)施策は無限にある!」、「着実に勉強、

何でも実践せよ!」など、私どもにも耳の痛い辛辣な言葉を発せられたり、「7・5・3の法則(坪当たり効率と利益率)」

「物流システム改善分析(技法)フローチャート図」など、参考となる情報も数多くいただきました。

 2016年度は申年ですが、「未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ」という相場の格言がありますが、会員皆様に

おかれては周りが騒がしくても、「一以貫之(いちいかんし)」(論語)の精神で、今回のお話を糧に、物流の世界で

変わらず一つの道を進み、向上されていかれんことを願っています。

(文責 高橋 敬次郎 日通総合研究所)

平成27年度第6回(12月度)の研究会は、研究会メンバーからの発表ということで、公益財団法人アジア成長研究所客員研究員の藤原利久様から、「物流の重要性・日本の物流と課題・世界の釜山に学ぶ」という題目でお話を頂きました。

冒頭で、なぜ物流が重要なのかという点について、著名経営学者だったドラッカーの言葉を引き合いに出しつつ、我が国でなぜ物流業界の存在価値が向上していないのか?という問題提起を頂きました。

例えば、我が国を代表する神戸港が、80年代までは釜山と同程度のコンテナ貨物量を取り扱っていたにも関わらず、1970年代終盤のTS(トランシップ)比率50%近くにまで達したのをピークに、その後TS比率は低下を続け、阪神大震災以降はさらに低下に拍車がかかった一方で、韓国・釜山港は80年代?90年代と順調にコンテナ貨物量を伸ばし、今や東アジアを代表する港湾としての地位を築いた背景や理由について解説いただきました。

そこでは、つまるところ国家としての港湾・物流・産業政策およびそれにもとづく戦略の差異、顧客(荷主)の視点で計画や戦略を練って実行がなされたか否か、更には、政労使による国際競争力獲得に向けた合意と努力の差異が大きく影響しているとの指摘がありました。

近年、物流競争力強化のひとつの方向性としてRo-Ro船を活用したシームレス物流の重要性が挙げられますが、藤原様からは、「これは日本の製造業のジャストインタイムや各種カイゼンなど、もともと日本の産業が得意とする領域のはずだ」との着眼にもとづき、北部九州で先進的に取り組まれている日産九州の韓国との間での完全シームレスSCMや、金沢港でのコマツのシームレス物流などを事例として紹介いただきながら、課題や実現可能性についても解説頂きました。

日本の港湾物流について、残念ながら思考パタンが従来からのものに固定化されてしまっており、一方で韓国・釜山港がいち早くその従来型のパタンを脱却したことで大きく躍進したことを振り返ると、我が国のあちこちに変革が求められる固定観念が多く存在することに気付かされます。現状維持的な発想のままジリジリと価値を食い潰すのを見過ごすのか、それとも、時代の流れや顧客の要求を的確に見据えて、大きく変革し新たなイノベーションを創出するのか。残された時間は多くはないのではないか、と考えさせられた研究会でした。

(文責:高田 仁、九州大学大学院経済学研究院)

年末年始のご案内

誠に勝手ながら、年末年始は、下記の通り休業いたします。

■休業期間■

2015年12月28日(月)12:00―2016年1月5日(火)9:00

ご了承賜りますよう、お願い申しあげます。

平成27年度第5回(11月度)の研究会は、「新『全社的常時スタッフ最適配置システム』の実現」の題目で、丸二倉庫株式会社業務部課長の国分様にご講演を頂きました。同社の取り組みは、昨年度のJILSロジスティクス大賞の業務改革賞を受賞したものです。研究会では、3PL事業を展開する同社がLOW-COST運営の更なる追求と高精度管理、HIGH-SPEED処理、業務量の波動変動問題をいかに解決し、スタッフ最適配置を実現しているかについて、詳細に解説頂きました。
業務量変動への対応は、ロジスティクス分野に共通する最大課題のひとつです。関東と関西に2つの拠点地域(事業所集中エリア)を持ち、ドミナント方式で事業展開を行っている同社においても、拠点地域内での波動変動への対応は、高コスト要因の課題でした。この問題に対して、「STAFF R&D "?"(人的資源の研究開発)」と称し、(1)多能工化と業務習熟度向上、(2)それをサポートするオリジナルサポーティングソフトウェア開発、の2つの取組みを進めて来られました。
入庫・出庫・返品といった倉庫業務を、個々の業務を分解して解りやすく整理し、個々の業務ごとに求められる習熟度を明確化したうえで、新人にはベテラン指導員が付いて定められた回数の教育と実践を行い、定期的に評価・判定。それを都度ソフトウェアに記録することで、個々のパート・スタッフの習熟度レベルが全社的にひと目で確認できる仕組みが構築されています。それによって、拠点地域内の特定の倉庫で業務量が急増する状況に対し、必要スキルを持ったスタッフを適切に配置することが実現されています。業務ボリュームが多い時期は、とにかくスタッフの頭数を増やしてなんとか対処する、という方法に依存する企業も少なくないですが、そのことによって非効率と高コスト化を招いてしまいます。予め必要な業務量を把握し、それに対して最適なスタッフ配置を行うことで、ムダのない効率的な人材配置を実現しているのが同社の取り組みの優位点です。
また、業務効率が向上するのみならず、習熟度レベルの透明化と自己の到達レベルの把握とフィードバックの継続によって、スタッフのやりがいが大きくなり、結果としてパートの定着率の向上、コスト削減、物流品質の向上がいずれも実現しているとのことです。習熟度についてその都度記録を残すという行為は手間でもあり、当初は現場から反発もあったとのことですが、逆に記録を残すことで最適のスタッフ配置が実現し、「仕事が楽になった」という実感がスタッフにも得られている点がポイントであったようです。
最後に、このような細やかな取り組みが実現するためには、現場の課題を解決して経営向上を実現しようとするトップのリーダーシップと、長年に渡るQCサークル活動と提案制度の実施といったボトムアップの両方が不可欠であることも確認できました。
(文責:高田 仁、九州大学大学院経済学研究院)

平成27年度「次世代物流システム構築事業費補助金」に係る補助事業者について、2015116日(金)から1126日(木)までの期間をもって公募を行いました。

応募内容について、外部有識者による厳正な審査を行った結果、下記の応募事業者を交付先として採択することを決定しましたのでお知らせいたします。

 

◆採択事業者 エアロセンス株式会社

 

なお、本ページにおける公表内容は、採択事業者に対する補助金の交付決定通知ではありません。採択事業者に対しては文書にて交付決定通知をお送りします。

交付決定にあたっては、補助対象経費、補助金額の上限等について別途協議のうえ条件を付す場合があります。

 

※本事業の背景・目的及び補助対象とする事業は次の通りです。

 

■事業の背景・目的

東日本大震災以降、省エネルギー対策の抜本的強化が必要となる中で、我が国の最終エネルギー消費量の約2割を占める運輸部門の省エネルギー対策を進めることが重要視されています。

本事業は、従前の施策だけでは十分に省エネルギー対策を図ることができない物流分野等について、効率化に向けた先行事業を行い、その成果の展開により抜本的省エネルギー対策を進めることを目的とします。

 

■補助対象事業

事業目的を達成するため、本事業では以下の要件を満たす事業を行う者に補助金を交付します。

 ・新たな物流体系の構築に寄与する取組

 ・省エネルギー効果、二酸化炭素排出量削減効果が見込まれる取組

 ・荷主企業が他の事業者・団体等と連携する取組

  

お問合せ先

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会 次世代物流システム構築補助事業担当

電話番号:03-3436-3191

電子メール:jisedai@logistics.or.jp

 「平成27年度次世代物流システム構築事業費補助金(次世代物流システム構築に関する調査事業)」の委託先について、2015年11月5日に当協会HP上で公募を行いました。

応募のあった提案について、当協会による予備選定の後、有識者による本選定を行った結果、下記の応募者を採択先として決定いたしましたので、お知らせいたします。

 

<調査名称と採択事業者>

 

■テーマ1

調査名称 :荷主連携による物流効率化ガイドライン策定調査・『ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法 共同ガイドラインVer.3.0』改訂調査

採択事業者:株式会社野村総合研究所

 

■テーマ2

調査名称 :クレート等の標準化に関する調査

採択事業者:株式会社日通総合研究所

 

 なお、本ページにおける公表内容は、採択事業者に対して委託先の決定を通知するものではありません。委託先決定にあたっては、別途協議のうえ条件を付す場合があります。 

 

お問合せ先

 公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会 次世代物流システム構築に関する調査事業担当

電話:03-3436-3191

電子メール:jisedai@logistics.or.jp

このたび、当協会では「物流・ロジスティクスにおける人材育成支援ガイド2016」を発行いたしました。

人材育成支援ガイド2016には当協会が2016年度にご提供予定の人材育成プログラム(資格講座・セミナー)を中心に、

講演会・大会、現場見学会、研究会などの全ての開催予定を掲載しております。人材育成支援ガイドは下記URLより

閲覧することができます。貴社の物流・ロジスティクス人材の育成にぜひ当協会をご活用いただくとともに、人材育成

支援ガイドを人材育成計画の策定にお役立てください。


<物流・ロジスティクスにおける人材育成支援ガイド2016(全32ページ)>
http://www.logistics.or.jp/pdf/education/2016/JINZAIweb.pdf

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人材育成プログラム(資格講座・セミナーなど)の詳細はこちらをご覧ください。
http://www.logistics.or.jp/education/index.html