2012年11月アーカイブ

 調査活動しては、アンケートなどの郵送作業が頻繁に発生します。
 個人情報の漏洩等を防ぐためには、郵送作業における誤送付を無くすことが必要であり、このような観点から、様々な工夫を行っております。
 物流における誤出荷防止の活動と大きな違いはないと思いますが、次のような点に注意して、作業計画を立てております。

(1)照合ポイントの最小化
 ラベルと宛名付きの文書など、複数の内容物をセットにして送付するのはミスを誘発する恐れがある。そのため、照合が必要な要素は極力なくす。ラベルと文書は一体化し、窓アキ封筒を利用する、ラベルと明細はデータベースから両面で出力する、など。
 また、文書の点数の増大も、添付漏れ等のミスを誘発することから、点数は極力削減する。複数の書類を1冊に綴じ、表紙に目次を付ける等。

(2)残数チェックの多重化
 送付漏れや、他の送付先への混入を避けるためには、残数チェックが有効である。ただし、発送全数(例えば千通)を対象とした残数チェックでは、ミスの特定が難しいうえ、ミス同士が相殺される危険がある。そのため、例えば送付50件ごとに必要数量を揃え、この単位で残数チェックを行う。
 これに加え、50件ごとの発送書類内での数え間違いを防止するため、チェックを多重化し、発送全数に対しても残数チェックを行う。

(3)チェックポイントの明確化
 書類を揃え、封筒に詰める作業の途中に、チェックポイントを設ける。中間段階でチェックするためには、例えば内容物を2重化することが必要である。例えば、いったんクリアフォルダに入れ、チェックを行い、クリアフォルダごと封筒に封入する。クリアフォルダに入った書類はすべてチェック待ちの状態を表すこととなり、チェックポイントが明確化する。

(4)作業者による品質のばらつきのコントロール
 重要なチェックポイントと最終チェックポイントでは、高い品質が求められる。中でも特に重要な照合ポイントは、かならず担当者自身がチェックする。

(5)整理・整頓
 作業場所に不要な物品を持ち込まず、不要品はすぐ廃棄する。

(JILS総研)

講演記録の記事掲載

 公益社団法人鉄道貨物協会名古屋支部の勉強会にて、「物流コスト」をテーマに講演をさせていただきましたが、その記事を同会機関誌「マンスリーかもつ」9月号に掲載いただきました。下記リンクのp8以降に講演概要が記載されています。
 時間の関係でショートバージョンでの講演でしたが、より詳しい講演を、当協会主催事業としても実施しております。次回は次年度の6?7月頃開催の予定です。詳細が決まりましたらHPでも告知いたします。

記事リンク(PDFファイルです)

物流コスト算定に関する文献

 「物流コスト算定を始めるに当たって、どのような参考書がありますか?」といった問い合わせが良く寄せられます。以下、ランダムに参考文献を記載してみます。

1.旧通産省「物流コスト算定活用マニュアル」 Amazon

 1992年に発刊された資料ではありますが、依然としてこの分野の基礎的テキストと言えるものです。残念ながら絶版となっていますが、古書としても多く出回っており、入手するのは難しくありません。物流コストの算定や分類方法が詳細に記述されており、自社において算定基準を作る際の参考とすることができます。本マニュアルを策定した委員会の座長は、早稲田大学名誉教授の西澤脩先生です。

2.中小企業庁「物流コスト算定マニュアル」 経産省サイト

 1.のマニュアルが主として大企業を想定した内容となっており、中小企業には導入が難しい面があることから、中小企業を対象とした簡便法として策定されたマニュアルです。
 例えば物流担当の社員の人件費、自家倉庫の施設費といった「自家物流費」の実績額を算定するのは容易ではありません。正確に自家倉庫の費用を把握するには、減価償却費のうち、倉庫に関する部分のみを抽出するといった手間が必要となります。本マニュアルでは、このように実績額の算定が難しい項目について、推計的手法を導入し、物流コストのおおよその金額を把握するように工夫されています。

3.河西 健次「すぐ使える実戦物流コスト計算」 Amazon

 物流コスト算定の解説書は数多ありますが、本書は読みやすく、実務的にも役立ちます。物流コストの算定は業務改善やコスト削減といった実務への応用を意識して進める必要がありますが、その点、本書の著者は旭硝子で物流コスト算定に長く携わっており、実務的な示唆を得ることができると思います。

4.簿記会計の各種テキスト

 物流コストは管理会計上のコストであると言っても、財務会計の仕組みと切り離して理解することは難しいと思われます。また、基礎的な財務会計上の概念を理解することは、物流コストの管理にも役立つと考えられます。特に、会計の知識がまったく無い場合は、簿記3級レベルの簡単なテキストから基礎的な知識を習得していくことが考えられます。

(つづく)

物流コストとは

 物流コストとは、物流に起因して(関連して)発生するコストであって、輸送費、保管・在庫費、包装費、荷役費、物流管理費といった機能別の観点、支払物流費、自家物流費といった支払形態別の観点、または調達物流費、社内物流費、販売物流費といった領域(物流プロセス)別の観点から分類されることが一般的です。
 なお、旧通産省による「物流コスト算定活用マニュアル」では、物流コストとは「有形・無形の物財の供給者から需要者へ至る実物的な流れに要するコストのことであって、具体的には、包装、荷役、輸送、保管及び情報処理の諸活動に要するコストを指している。このような物流コストは、商流コストと並んで、物財の時間的、空間的な価値の創造に貢献するコストを表している」と定義しています。
 物流コストは、会社内の様々な場面で発生します。調達のための物流、社内の拠点間の物流、顧客への販売物流などです。企業の財務諸表には、「配送費」といった費用項目が掲載されていることはありますが、これは物流コストの一部に過ぎないことに注意が必要です。

物流の対象となる物資の名称

 「バルクカーゴ」とは何か(液体は含むか)など、物流の対象となる物資を表す用語の定義は必ずしも明確ではありませんが、JISの用語定義等を踏まえると、おおむね下表のように整理できると考えられます(ただし、実務上の例外は多々存在します)。

貨物の種類.jpg


JISでの「ロジスティクス」の定義

 ロジスティクスの定義は様々なものがありますが、法的な根拠(工業標準化法)に基づく公的な定義として、JIS(日本工業標準規格)の物流用語の定義が挙げられます。
 そのJIS物流用語では、ロジスティクスは「物流の諸機能を高度化し,調達,生産,販売,回収などの分野を統合して,需要と供給の適正化をはかるとともに顧客満足を向上させ,あわせて環境保全及び安全対策をはじめ社会的課題への対応をめざす戦略的な経営管理」と定義しています。
 「物流」は、包装、輸送、保管といった諸機能の総合的管理であるのに対し、ロジスティクスは、その「物流」に加え、調達や生産といった分野を管理の対象とする、より上位の統合化を志向した概念であると考えられます。

JILS20周年事業の一環として作成した「ロジスティクスコンセプト2020」の
英語版を作成しております。
部数が限られておりますので、当会主催展示会などで適宜配布させていただいております。


表紙イメージ.jpg

東日本大震災を受け、JILSとして表記の提言・要望を行っております(2011年12月公表)。他のページにも掲載していますが、こちらにも転載します。