【年頭所感】ロジスティクスマネジメントの統合管理を目指して

 年頭所感 

ロジスティクスマネジメントの統合管理を目指して

 

公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会

副 会 長  川 合 正 矩

 

2016年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申しあげます。

 昨年は、中東での日本人人質殺害事件やロシア機の爆発事故、そしてパリにて発生した同時多発テロなど、世界に大きな衝撃を与えた事件が発生いたしました。一部過激派組織によるとみられる一連のテロ事件は、欧州における中東地域からの大量の難民受入れ問題にも影を落としています。一方わが国では、集団的自衛権の限定的な行使容認を含む安全保障関連法が成立し、今後の安全保障政策において歴史的転換の年となりました。また経済分野では、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定交渉が大筋合意に至りました。さらにAEC(ASEAN経済共同体)の実現により、物資・サービスの貿易自由化・円滑化が、今後一層進展するものと期待されます。

 このような中、グローバルなサプライチェーンの効率化に向けたロジスティクスシステムの高度化は、企業価値の向上のみならず、国民生活を支えるうえでも、より一層重要になって参りました。国内物流とグローバル物流とのシームレス化には、国内と海外を隔てることのないロジスティクスマネジメントの統合管理が求められております。公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会は、需要と供給を同期化させるロジスティクスシステムのあるべき姿を「ロジスティクスコンセプト 2020」として取りまとめており、グローバルサプライチェーンの効率化とともに、ロジスティクスの統合管理の必要性を訴えて参りました。引き続き、このコンセプトの実現に向けて活動を展開いたします。

特に本年より、当協会は、ロジスティクスに関する課題解決のために、積極的に提言活動を行って参ります。具体的には、「ロジスティクスKPI推進部会」および「ロジスティクスIoT推進部会」を新たに設置し、産学官の連携により議論を深め、将来のあるべき姿を描きつつ、企業間の課題解決のための方策を発信いたします。

また、ロジスティクスに関する課題解決に向け、物流システム機器や情報システム、サービス等ハードとソフトが集結した情報発信・技術交流の場である「国際物流総合展―LOGIS-TECH TOKYO―」の規模を拡充し、本年9月に開催するとともに、物流現場改善活動の活性化や、ロジスティクスの高度化を担う幅広いロジスティクス人材育成に向けた能力開発支援事業などに取り組んで参ります。

 本年も当協会は、わが国産業活動と国民生活の持続可能な発展に向け、全力をあげて課題に取り組んで参ります。会員の皆様をはじめ、関係各位の一層のご支援とご協力を心からお願い申しあげ、新年のご挨拶といたします。

 

2016年 新春