物流合理化賞 受賞企業見学会 開催の報告

去る12月3日(火)、2013年度物流合理化賞(物流業務部門)を受賞されましたキムラユニティー株式会社 様のトヨタ自動車株式会社 大口部品センターの受賞企業見学会を開催いたしました。

見学会では、物流合理化賞 受賞事例を、実際に改善活動が行われた現場でご説明をいただくなど、「百聞は一見に如かず」の言葉通り、事例を聞いたり、読んだりするだけでは理解しづらいところまで詳細にご紹介いただきました。

また、見学後には物流合理化賞の審査・選定を行う全日本物流改善事例大会 実行委員会の副委員長をお務めいただいている東京海洋大学 黒川久幸教授より、「物流現場改善活動の進め方」と題したレクチャーが行われ、各現場で物流改善活動を行うにあたってのポイントやコツ等をご紹介いただきました。

見学会の様子

(写真)見学会の様子

 黒川教授のレクチャー

(写真)黒川教授のレクチャー

以下、見学会の参加者からのコメント:

・いろいろなところにアイデアが詰まった現場だと感じました。
・実際に現場でプロジェクターを使った説明をしていただき、大変わかりやすかったです。
・日々の業務の中で「当たり前」だと考えていることを「見える化」することの重要性に気づかされました。
・改善された事例は非常に参考になり、現場の方々の意識の高さがよくわかりました。
・改善を全員一丸となって推進している姿勢に感銘を受けました。
・職場の方皆さんの改善意識が高く、常に改善することを考えている点が素晴らしく感心致しました。
・全日本大会も聴講しましたが、徹底した「見える化」の取り組み等、実際に現場を見なければ分からないことも多く、参考になりました。

以下、黒川教授のコメント:

 全日本物流改善事例大会での発表や配布資料は、時間や紙面の都合で割愛されている部分もあり、細かな工夫や日々の努力についてお話をお伺いできるのは大変貴重である。見学会当日は、わくわくしながら参加させていただいた。
 例えば、極小品ロケ移動で使用する台車は、空箱搬送作業時の作業者の前方の視界を確保するために天板を収容する機構を備えているが、文章からはその大切さが理解しにくい。しかし、実際に台車を見せていただくと、前方の見やすさが随分と違い、搬送時の衝突、接触等の事故防止にとても重要であることが実感できる。また、紙面では書かれていない、開発の際のこだわりをお伺いするのも楽しい。実際に作業者の方がストレスなく使用できるように、天板の収容を6秒以内に完了できるように工夫されたことなどをお聞きした。なるほど、機能があっても使用されなければ意味がない。
 このような実感や紙面で表現されていないこだわりは、改善事例の理解を深め、実際の物流現場における問題点の気付きや改善のためのヒントを与えてくれる。また、改善事例以外で印象に残ったのは、安全に対する数多くの工夫である。通路に面する棚の間口は出会い頭の衝突を避けるために物を置かずに視界を確保し、さらには危険と思われる箇所では音声による注意喚起を行っていた。このような改善事例にない発見も大変勉強になる。
 皆様も機会をつくり、是非、ご参加されることをお勧めする。

----------全日本物流改善事例大会2014 応募のお勧め------------------------------------------
当協会では、選考によって選ばれた、物流現場における優れた改善事例を発表いただき、情報交換することによって物流改善活動の裾野を広げる場として「全日本物流改善事例大会」を開催し、さらに発表された事例の中でも特に優れているとして選考された事例について「物流合理化賞」を贈り表彰いたしております。

2014年4月・5月の全日本物流改善事例大会2014 開催に向け、現在、改善事例を募集中です。貴社の物流現場で取り組まれた身近な改善を、ぜひご応募ください!

大会詳細・事例応募はこちらから
http://www.logistics.or.jp/newest/kaizen_application.html

以下、黒川教授のコメント:

 物流現場の改善を日々、努力して続けられている現場は多く、その多くの企業で作業者のモチベーションを高めるために社内における改善事例の発表会やその成果に対する褒賞制度を設けている。しかし、マンネリ化した取り組みでは作業者のモチベーションを維持することは難しく、もう一歩足りないと感じている方も多いのではないだろうか?
 このようなときに、本事例大会を活用するもの一つの方法と思う。人間は普段と異なる「非日常」なことに触れることにより、刺激を受け、感化される。このような場としての活用も本事例大会にはあるのではないかと思う。
 また、教育という観点からは、社内における改善事例の発表よりも本事例大会のような外部での発表をお勧めする。外部の第三者に対する発表では、普段何気なく社内で使用している用語について、その定義は何か意識し、聴衆が理解できるようにどのように説明すれば良いか考えなければならない。
 曖昧な業務の理解では第三者に分かるように説明できない。普段学生が学会等の外部で発表する前後でいつも感じることであるが、この一連の確認作業は学生の理解を深め、大きな成長をもたらす。特に、第三者に理解してもらう説明をするためには論理立てて話の構成を立てなければならない。思考力の鍛錬にもつながる。

?マンネリ化の打破や教育の機会の場、さらには学びの場でもある本事例大会に、発表者として是非ご参加下さい。