九州ロジスティクス活性化研究会報告「ニチレイロジグループにおける物流品質管理と生産性向上施策」

九州ロジスティクス活性化研究会の第4回会合を10月25日(金)にホテルセントラーザ博多にて26名の出席のもとに開催いたしました。

 物流品質管理は各社重要施策として取り組まれております。しかも、発荷主、着荷主、物流企業の各社に独自の物流品質管理基準があり、加えて、各業種・業態のサプライチェーンの各プレイヤー(ステークホルダー)が共通価値として認識しておかなければならない品質管理基準が存在しています。

実態として、時には担当者が替わると品質判断基準や要求基準が替わると言う複雑な構造になっているのが現状です。

一部の業界ではその判断基準の違いから受け取り拒否となってしまい、余分な物流コストの発生や余計な環境負荷をかけているとの声を度々お聞きします。

 業務のスピード化や業務生産性の向上が強く求められる今日、各サプライチェーンにおいて各プレイヤーが共通価値として認識できる物流品質判断基準の設定や統一化が必要な時代を迎えていると思います。

★研究会の詳細はこちら↓※会期途中のご参加も歓迎いたします!

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九州ロジスティクス活性化研究会

第4回会合【10月25日(金)】高田主査コメント

 10月25日(金)の九州ロジスティクス活性化研究会の第4回研究会は、(株)ニチレイロジグループ本社 顧問の山室 達雄様より、「ニチレイロジグループにおける物流品質管理と生産性向上施策」というテーマでご講演を頂きました。

 

 元々、倉庫物流業として発足したニチレイグループの中で、同社は売上の1/3、利益の1/2を生み出す中核企業です。国内108箇所に冷蔵倉庫や物流センターを保有していますが、興味深いのは各地域で保管事業を担う地域会社を各々別会社化している点です。従って、この日のテーマである物流品質管理や生産性向上の取り組みは、グループとしての体系は持ちつつも、取り組みのかなりの部分は各地域会社の自主性に委ねられています。つまり、同社における物流品質管理は、本社が仔細にわたって決定しグループ全体・末端までが遺漏なく実行するというものではなく、全体フレームは提示されながらも、地域会社において各々のステークホルダーとの関係など実情に併せて柔軟に運用されており、そのことによって、本来の品質管理や生産性向上の目的を見失わないように注意が払われているようです。

 

 このようなマネジメントを高いレベルで実行しようとすると、やはり『人』が重要となります。よく「最後は人だ」という言葉を耳にしますが、形骸化してしまった管理システムをただただ回すだけでは、人は能力を発揮できませんし、能力向上にも結びつきません。この点で、同社のマネジメントは、全社的な方針の明確化と現場の自主性・創意工夫とがバランスよく両立されているように見受けられます。その根底には、「ニチレイロジがストップしたら、日本がストップする!」というトップの明快なメッセージに代表される、高い次元での企業ミッションの社内共有も理由としてあるようです。

 

(文責 高田 仁、九州大学大学院経済学研究院)

 

 

◆高田 仁 氏

九州ロジスティクス活性化研究会 主査

JILS九州ロジスティクス委員会副委員長

九州大学大学院 経済学研究院 准教授

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1990年に九州大学工学部卒業後、大手メーカーに勤務。1995年に九州大学大学院(工学研究科建築学専攻)にて修士課程を修了、コンサルタント会社にて学術研究都市やサイエンスパークなど地域計画の立案に従事。1999年、(株)先端科学技術インキュベーションセンター(CASTI、現東大TLO)の経営に参画し、2002年まで同社取締役副社長兼COO2003年に九州大学ビジネス・スクール助教授。同年10月から2010年まで九州大学知的財産本部技術移転グループリーダーを兼務。2005年から2010年まで総長特別補佐。2007年九州大学ビジネス・スクール准教授。また、2009年から翌年まで米国MIT(マサチューセッツ工科大学)客員研究員、その後、九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センターの設立に参画し、2010年より同センター兼務。