環境報告書  Environmental Report

 環境省では「名称の如何を問わず、企業等の事業者が、最高経営者の緒言、環境保全に関する方針・目標・行動計画、環境マネジメントに関する状況(環境マネジメントシステム・環境会計・法規制遵守・環境適合設計その他)及び環境負荷低減に向けた取組等について取りまとめ、一般公表するもの」と定義している(環境省編「平成16年版環境白書」)。
  情報の受け手と想定しているものは株主・債権者、従業員、取引先、消費者、地域住民、環境団体、行政などのステークホルダー(利害関係者)である。
  わが国ではあくまでも企業の自発的な行為であるが、すでに千数百社が発行している。
  デンマーク、オランダでは環境報告書の作成・公表が法律で義務付けてい、フランス、ノルウェーでは環境に関する取り組みを財務に関する年次報告書に記載することが法制化されている。
  企業の自発的な行為としての環境報告書であっても情報の送り手、受け手の利便性を考えると作成上のガイドラインが必要である。代表的なガイドラインには、環境省「事業者の環境パフォーマンス指標(2002年度版)」、経済産業省「ステークホルダー重視による環境レポーティングガイドライン2001」、環境省「環境報告書ガイドライン(2003年度版)」がある。また、環境省は「環境報告書データベース」も構築されていて、環境コミュニケーションの質的・量的向上を誘導している。
  一方、読みやすい環境報告書を作るための企業側の努力としては、(1)一冊の環境報告書で済まさずに、読み手や用途に応じてサイト版、要約版、簡易版、ホームページ版、ビデオ版を作成したり、(2)編集段階で読み手の協力を求めたり、(3)会計監査法人・有識者・NGOなどの第三者による検証或いは意見・レビュー・保証の提供を求めたり、(4)利害関係者を交えての「環境報告書を読む会」などで広異見を求めて今後の作成に活かしたりする試みがなされている。
  また、幾つかの団体が環境報告書の表彰制度を主催・運営している。 
  なお、環境報告書では公表の対象が環境活動に限定されているが、最近では、企業が持続的な発展を続けるための諸活動を加えて「サスティナビリティ報告書(sustainability report)」「環境・社会報告書」としたり、さらに企業の社会的責任を果す全ての活動にまで対象を広げた「CSR報告書(Corporate Social Responsibility Report)」とした進化した報告書の中で環境報告をする企業も見受けられる。
→サスティナビリティ報告書、環境・社会報告書、CSR報告書

 

 


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